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古谷 愛子 |
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1.調査の目的 |
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目に見えない生き物(プランクトン)は、どのような形をしているのか、どのような役割を果たしているのか、また、場所によって存在する種類に違いがあるのだろうか、プランクトンへの興味の導入方法として、顕微鏡を使ってその映像をパソコンに取り込み、実際、目で見ていただける資料をつくる。 |
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2.調査地点の選定 |
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綾瀬川流域(本流)と足立区内河川・水路で、それぞれ生き物が生息可能な場所2点を選定し、淡水プランクトンを調べた。綾瀬川流域で選んだのは、綾瀬川源流部より約17キロ下流に位置する境堀である。境堀は、埼玉県さいたま市と岩槻市の市境にあり、綾瀬川本流に流入する水路にたくさんの水草が生育していたため、プランクトンが存在するであろうと期待できる場所であった。また、区内河川・水路で選んだ場所は、北部の保木間堀親水水路である。この水路へは埼玉県から流れて来る見沼代用水が流入している。見沼代用水はかつて農業用水路として設置されたもので、現在でも水質は比較的良く、保木間親水水路にも水草が確認できている。よって、水生生物が存在することが予測できるため調査地点として選定した。上記2箇所からの採水を調べた。 |
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3.調査方法 |
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保木間堀親水水路と、コカナダモやヤナギモの水生植物が繁茂する綾瀬川境堀の水中に生息する淡水プランクトンを、位相差顕微鏡を用いて撮影した。同定は、滋賀県立琵琶湖博物館の楠岡氏にご協力いただいた。プランクトンの同定は画像からだけでは困難であるため、属までにとどめている。 |
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4.調査結果 |
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プランクトンの種類と数は、季節や採水場所によって大きな違いが出るため、今回記録できたものがその水質を象徴するものであるとはいえないが、どのプランクトンも河川水辺で普通に見られるといわれる種類であった。 |
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珪藻類や緑藻類などの植物プランクトンは、水と光と二酸化炭素で栄養を作り出すことで成長、増殖し、酸素を作り出す。鞭毛虫や繊毛虫などの動物プランクトンは自分より小さなプランクトンや細菌を食べて成長、増殖する。これら淡水プランクトンは、魚や水生昆虫など多くの水生生物のえさになっており、生態系の底辺を支える重要な生物といえる。 |
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撮影した動画にツリガネムシ(Vorticella)の捕食場面がある。繊毛で水流を起こし、有機物を取り込んでいる様子がわかるが、このようにプランクトンが水中の有機物を食べることで水質の浄化にも一役買っていることは重要である。 |
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プランクトンは目に見えない小さなものがほとんどであるが、顕微鏡で観察すると、その姿かたちの美しさや、動作(動き)の面白さに驚かされる。見過ごされがちな生物ではあるが、身近で、たいへん重要な役割を担っている生物である。 |
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