ガイドブック詳細


■ ”昆虫ページ”(ガイドブック P8)より

大曽根の湿地では日本最大級のエンマコオロギやトノサマバッタが健在。10月にはわずか 1.2ヘクタールに広がる3つの池や土手に、ギンヤンマが10数頭飛び交かっていた。アキアカネがつがいで浅い水面に産卵しているのを眺めることもできた。同所でオオシオカラトンボ、チョウトンボが 1頭確認されている。冬の朽木には、数種のアリ類が営巣しており、分布の北限に近く東京都の皇居や千葉県市川市の昆虫調査でも記録されなかったルリアリが見つかっている。サシガメの種類が豊富であることも特徴的だ。

花畑大鷲神社は、昆虫の採集が禁止されているためか、周辺は良好な環境になっており、ニホンミツバチの営巣、ウバタマムシ、蛾の仲間で点描画のような美しい羽を持つビロードハマキ(2003年度調査で足立区初出現を確認)などが見つかっている。

■ ”野鳥ページ”(ガイドブック P24)より

カモ類、サギ類やカワセミなどの水辺の鳥が、大曽根ビオトープ、綾瀬川、桑袋ビオトープ公園のエリアを餌採り場所、休息地として回遊しながら利用している。綾瀬川と隣接する大曽根ビオトープは、河口から飛来する鳥にとって最初に目にする大きな水面であるため、この水域に生息する水鳥や渡り鳥にとって重要な湿地だ。第一期工事終了後にアカガシラサギが飛来したことがある。

大曽根ビオトープでは、バン、オオバン、冬鳥のオカヨシガモ、コガモ、ハシビロガモのカモ類やコサギ、アオサギのサギ類が休息、採餌している。カワセミが水中にダイビングして小魚を捕食している。湿地のアシ原ではアオジ、オオジュリン、シジュウカラ、ウグイス、メジロ、モズ、ジョウビタキが記録された。アシ原には夏鳥のツバメが飛来し、拡張造成地の水辺を 2羽のコチドリが餌をとっていた。5月に入るとオオヨシキリがアシ原で盛んにさえずっていたが繁殖には至らなかったようである。


■ ”植物ページ”(ガイドブック P27)より

大曽根ビオトープの土手には、2月中旬ごろから早くもオオイヌノフグリやヒメオドリコソウが咲いた。

2008年8月、造成が終了したばかりの「せせらぎ池」で、環境省レッドデータブックで絶滅危惧 II 類に指定されているミズアオイが咲いた。ミズアオイは、日本中の沼地・用水路・水田で普通に見られたが、河川の環境変化により激減している。以前から確認していた絶滅危惧 II 類のタコノアシと東京都版レッドデータブックのゴキヅルと同様、今後の環境を見守っていく必要がある。 ※絶滅危惧 II 類(VU)とは、絶滅の危険が増大している種を示す。


”水生生物ページ”(ガイドブック P33)より

大曽根ビオトープには、日本初の川と池を結び付けた魚道が3ヶ所できている。河口から約10㎞しかないので、潮が満ちてくると池に綾瀬川の水が入り、引いて来ると池の水が綾瀬川へ出て行く。大曽根の池は、魚にとってコンクリート護岸の続く綾瀬川を登ってきたときに、初めてほっとできる場所なのだろう。近年では埼玉県でも珍しいマルタ・カライワシ・イセゴイなどの魚も入ってくるようになった。

今の良好な環境を保つには、葦原が広がりすぎて水面が狭くなってしまうことや外来魚が増えすぎるのを防ぐことが大切だ。